2021年オホーツクの旅
Updated: 5/14/2022 Original: 4/1/2021
道産子とは言いつつも、道内でまだ行ったことのないところの方がよっぽど多いです。学生の間に行ったことがあるところといったら、札幌、千歳、釧路くらいでしょうか。札幌には祖父母がいたので、比較的頻繁に行っていました。でもそんなくらいです。ほんとはもっと小さな頃に道央の旭川や士別などにも行っているのですが、もう写真でしか思い出すことができません。
そんな訳ですから道北・道東なんてテレビでしか見たことがありません。流氷なんてもってのほかです。
これじゃいかん。
今回は意を決して道北から道東へのひとり旅を決行しました。「道北、道東はなにもないよ」「いってもさびしいだけだよ」と方々よく言われましたが、そんなの関係ありません。だって寂しくなりたかったんですもの。
目標は稚内の宗谷岬から、根室の納沙布岬です。流氷を追いかけてオホーツク海岸沿いを下っていきます。函館からJRで揺られることほぼ12時間、稚内にて一泊。翌日レンタカーを借りて3泊でオホーツク海岸をひたすら南東に向けて走り続けます。納沙布岬がゴールです。最後はレンタカーを釧路で返して、JRで函館に帰るというルートにしました。
初日、流氷はもうずいぶんと南下をしていて、宗谷岬からしばらくは青い海、まっすぐな海岸線が続きました。クッチャロ湖を経て、途中旧友に会ったりしつつ紋別に宿泊です。
どうでもいいのですが、浜頓別に「浜頓ホテル」というホテルがありました。横目で通り過ぎつつ、「初めてなのにどうしてこんなに親近感があるのかな。..」と考え続けること30分。ハタと気づきました。そうだ、我々のまわりには「ヒルトンホテル」があるではありませんか!音感最高。
翌日はついに目玉のサロマ湖です。まだ氷に覆われていました。そのまま波が凍ったかような文様が、遠くまで果てしなく続いていました。
夕暮れ時には鉛色の雲が低くたれこめ、見た目にも重々しい大粒の雪が降り出してきました。二日目の宿泊地、中標津に急ぎます。斜里岳を分け入る244号線がことのほか怖かった。冬の峠はおっかねえ。
前日と打って変わって、3日目は快晴でした。最終日、ゴールの納沙布岬を目指します。
その前に野付半島を見学。全長約26kmの日本最大の砂嘴(Sand spit)です。海の上に延々と続く橋の上を運転するような感覚でした。根室海峡を挟んで見える知床半島が、北海道の雄大さを物語っていました。
納沙布岬は根室市からもしばらく運転しなければいけません。オホーツク海側のなだらかな風景とはうってかわって、ゴツゴツした岩場が目の前に広がります。数多の丘を越え、ついに日本最東端の灯台が見えてきました。
岬をえぐらんばかりの強風で、厳しい北海道の季節を垣間見た気がしました。それでもカモメはまるで変わったことのないような様子で、灯台の周りを淡々と飛び回っていました。
さあ、車を返すために釧路に向かいます。浜中町の荒々しい地形を堪能しつつ、夕暮れ前に釧路に着きました。じつは浜中町から釧路までの道のりが一番意識が飛びそうでした。延々と同じ景色なんだもの。これがみんなが言ってた「道東は寂しい」というやつなんでしょうね。
もちろん釧路湿原も見てまいりました。日没1時間前に細岡展望台に到着。日没に向けて雲が晴れていく光景を目の当たりにすることができ、カメラ愛好家の方々と一緒に湿原の姿を堪能しました。
今回は日程に余裕があったので、各所でゆっくり景色を目に焼き付けることができました。遠近感なんてどうでも良くなる大雪原や、道の真ん中で寝ている番犬や、風にちぢこむ大きなカラスや、カップルで幸せそうに突然飛び出してくる鹿がいい思い出です。