2025年12月15日
Ken Suzuki
技術

【2025年12月版】NVIDIA Isaac Sim 環境構築の記録 (Issac Sim 5.1.0 + ROS2 w/ Ubuntu 24.04)

2025年12月に行った、Ubuntu 24.04上でのNVIDIA Isaac Simの環境構築手順の記録です。Windowsでも構築したのですが、DLLの問題でUbuntuでの環境に切り替えました。

Isaac SimROS2Omniverse環境設定
【2025年12月版】NVIDIA Isaac Sim 環境構築の記録 (Issac Sim 5.1.0 + ROS2 w/ Ubuntu 24.04)

Ubuntu NVIDIA Isaac Sim 開発環境構築ガイド (2025-12版)

1. はじめに

Windows 11 ProにIsaac Simをセットアップした後、Docker上のUbuntu/ROS 2環境との連携で問題が発生しました。Isaac SimがROS 2 BridgeのPythonモジュールrclpyをロードしようとしてクラッシュする現象に悩まされ、解決に至りませんでした。

結局、Ubuntuをデュアルブートでクリーンインストールし、Isaac SimとROS 2をネイティブ環境に共存させる構成に切り替えることにしました。以下はその手順の記録です。


2. システム概要

  • OS: Ubuntu 24.04
  • 主要ソフトウェア: NVIDIA Isaac Sim 5.1.0, ROS2 Jazzy
  • 用途: ロボットアーム等のシミュレーション、営業支援用PoC開発

3. 環境構築手順

基本的なところは、https://docs.isaacsim.omniverse.nvidia.com/5.1.0/installation/install_python.htmlを参照しました。

3.1. OS初期設定

Ubuntuのデュアルブート環境作成については、詳細な文献が多数存在するため、そちらを参照してください。

インストール中に Install third-party software for graphics and Wi-Fi hardware オプションが表示されたら、必ずチェックを入れ、NVIDIAのプロプライエタリドライバをインストールします。

インストール完了後、以下のコマンドでNVIDIAドライバとCUDAのバージョンを確認してください。

$ nvidia-smi

nvidia-smiコマンドの実行結果。NVIDIAドライババージョン580.95.05、CUDAバージョン13.0、GeForce RTX 5090 GPUの詳細情報が表示されている

libnvidia-egl-gbm1エラーについて
`xrdp`の設定中にX11の設定を編集したところ、Isaac Simのインストール中に以下の依存関係エラーが発生しました。 > The following packages have unmet dependancies: > libnvidia-gl-580 : Conflicts: libnvidia-egl-gbm1 > E: Unable to correct problems, you have held broken packages.

これは、NVIDIAパッケージリポジトリから提供された新しいドライバ (libnvidia-gl-580) と、既存の互換パッケージ (libnvidia-egl-gbm1) の競合が原因です。この問題を解決できず、最終的にOSをクリーンインストールする結果となりました。X11関連の設定変更は慎重にどうぞ。

3.2. MinicondaインストールおよびPython環境設定

Ubuntu標準のPythonを直接いじってしまうと、OSのシステム自体が壊れるリスクがあります。Condaを使って『仮想環境』を作ることで、万が一設定を失敗してもその環境を消すだけでやり直せるため、安全に開発できます。

$ mkdir ~/dev/
$ cd ~/dev/
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
$ wget https://repo.anaconda.com/miniconda/Miniconda3-latest-Linux-x86_64.sh
$ bash Miniconda3-latest-Linux-x86_64.sh
$ source ~/.bashrc

Minicondaインストール実行画面。ライセンス同意、インストールパスの確認、condaの初期化設定などが表示されている

これでcondaコマンドが使えるようになります(プロンプトの頭にconda環境が表示されます。例えば(base)とかです)。次いで、Isaac Sim 5.1.0 はPythonバージョン3.1を要求するため、Isaac SimのためのPython環境を作成します。

(base) $ conda create -n env_isaacsim python=3.11
(base) $ conda activate env_isaacsim
(env_isaacsim) $ pip install --upgrade pip

conda環境の作成とアクティベーション実行画面。env_isaacsim環境の作成、Pythonパッケージのインストール確認、環境のアクティベーション後にプロンプトが(env_isaacsim)に変わっている様子が表示されている

3.3. Isaac Sim インストール

作成したconda環境内にIsaac Simをインストールします。

(env_isaacsim) $ pip install isaacsim[all,extscache]==5.1.0 --extra-index-url https://pypi.nvidia.com

Isaac Simインストール開始画面。pipコマンドでisaacsimパッケージのダウンロードが開始され、依存関係パッケージのリストが表示されている Isaac Simインストール完了画面。全パッケージのインストールが成功し、インストールサイズと実行時間の統計情報が表示されている

3.4. 環境確認

互換性チェックを実行し、インストールが正しく完了したかを確認します。

(env_isaacsim) $ isaacsim isaacsim.exp.compatibility_check

Isaac Sim互換性チェック実行結果。システム要件、GPUドライバ、Pythonバージョン、依存関係などの互換性テストが正常に完了したことを示している

3.5. Isaac Sim起動

(env_isaacsim) $ isaacsim

Isaac Sim起動画面。アプリケーションのメインウィンドウが表示され、Omniverseライブラリ、シーン作成オプション、拡張機能設定などの初期設定画面が表示されている

3.6. ROS 2 Jazzyのインストール

公式ドキュメント (https://docs.ros.org/en/jazzy/Installation/Ubuntu-Install-Debs.html) を参照し、ROS 2をインストールします。

1. ロケール確認

$ locale

en_US.UTF-8が設定されていることを確認します。

localeコマンドの実行結果。LANG、LC_ALL、LC_TIMEなどの各ロケール設定がen_US.UTF-8に正しく設定されていることが表示されている

2. リポジトリ設定とインストール

ROS2 Jazzyをインストールするための公式リポジトリを登録し、実際にパッケージをインストールしていきました。

$ sudo apt install software-properties-common
$ sudo add-apt-repository universe

ROS2リポジトリ登録実行画面。software-properties-commonパッケージのインストール確認とuniverseリポジトリの追加処理が表示されている

$ sudo apt update && sudo apt install curl -y
$ sudo curl -sSL https://raw.githubusercontent.com/ros/rosdistro/master/ros.key -o /usr/share/keyrings/ros-archive-keyring.gpg
$ echo "deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/usr/share/keyrings/ros-archive-keyring.gpg] http://packages.ros.org/ros2/ubuntu $(. /etc/os-release && echo $UBUNTU_CODENAME) main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/ros2.list > /dev/null

ROS2認証キーとリポジトリ設定実行画面。GPGキーのダウンロード処理とaptソースリストへのROS2リポジトリ追加が正常に完了している

$ sudo apt update && sudo apt install ros2-dev-tools

ROS2開発ツールインストール開始画面。ros2-dev-toolsパッケージのダウンロードと依存関係の解決処理が表示されている ROS2開発ツールインストール完了画面。全パッケージのインストールが正常に完了し、インストールされたパッケージ数と処理時間の統計情報が表示されている

$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
$ sudo apt install ros-jazzy-desktop

ROS2 Jazzy Desktopインストール開始画面。ros-jazzy-desktopパッケージとその膨大な依存関係パッケージのダウンロードとインストール処理が開始されている ROS2 Jazzy Desktopインストール完了画面。全パッケージのインストールが正常に完了し、インストールサイズと実行時間の統計情報が表示されている

最後のコマンドで、ROS2 Jazzyの「デスクトップ版」 を一括インストールしました。これにはROSの基本機能に加え、RViz(3D可視化ツール)やデモパッケージなど、GUI開発に必要なものがすべて含まれています。

3. 動作確認

ターミナルを2つ開き、それぞれでTalkerとListenerを起動してメッセージ通信が行われることを確認します。

# ターミナル1
$ source /opt/ros/jazzy/setup.bash
$ ros2 run demo_nodes_cpp talker
# ターミナル2
$ source /opt/ros/jazzy/setup.bash
$ ros2 run demo_nodes_py listener

ROS2動作確認デモ実行画面。2つのターミナルでtalkerとlistenerが実行され、正常にメッセージ通信が行われていることが確認できる

3.7. Isaac SimとROS 2の連携

連携に必要なROS 2パッケージをインストールし、Isaac Simを起動します。(https://docs.isaacsim.omniverse.nvidia.com/5.1.0/installation/install_ros.html#install-ros-2)を参照しました。

$ sudo apt install ros-jazzy-vision-msgs
$ sudo apt install ros-jazzy-ackermann-msgs

Isaac Sim連携用ROS2追加パッケージインストール画面。ros-jazzy-vision-msgsとros-jazzy-ackermann-msgsパッケージのインストールが正常に完了している

# ROS 2環境を読み込んでからIsaac Simを起動
$ source /opt/ros/jazzy/setup.bash
$ isaacsim

Isaac SimのROS 2 Bridge拡張機能有効化確認画面。Extensionsウィンドウで「ROS 2 Bridge」拡張機能が正常に有効化され、Isaac SimとROS 2の連携が準備完了していることが表示されている

Isaac Simの起動後、ExtensionsウィンドウでROS 2 Bridgeが有効になっていることを確認すれば、連携設定は完了です。


4. まとめ

以上が、デュアルブートUbuntu環境でNVIDIA Isaac Sim環境を再構築した手順です。

Windows環境でのROS2とIsaac Simのブリッジは、非常に複雑でデリケートなDLL競合の問題に直面し続けてしまったので、一つ一つエラーを解消するよりもUbuntuに切り替えました。今のところとても安定しているので、当分はUbuntu側で開発を進めていきたいと思います。

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